イリモノづくり

デザインは身近にありました。要るもの作ろう イリモノづくり。

HIGH LINE

前々から気になっていたNYのハイライン。
卒制のネタも考えないとダメなので、何かの刺激やきっかけにならないかと本を読んでみた次第。

HIGH LINE アート、市民、ボランティアが立ち上がるニューヨーク流都市再生の物語

HIGH LINE アート、市民、ボランティアが立ち上がるニューヨーク流都市再生の物語

思っていた内容とは異なって、運営の模様が中心になって書かれた日記みたいな感じだったし、そもそもハイラインの公園化構想自体が、ゼロからスタートじゃなくて、構想自体は以前からあったという予想外の内容ではあったけど、面白かった。大変さと充実感が見て取れた。

個人的には資金調達に関して、よくアンテナが引っかかったのでメモしておこうと思う。


ハイラインが成功したポイントの一つは、たとえどんなに小さな一歩でも、常に周囲に進展を見せてきたことだ。そのオリジナル名刺には、ジョッシュとぼくの自宅の住所と電話番号を刷るしかなかった。でもロゴのおかげで本格的なプロジェクトに見えた。

情報を小出しに発信していくことは重要だと思う。今はブログやtwitterで細かな情報発信はしやすい時代なので、どうやってわかりやすく興味を持ってもらえるように発信するのかがキモだと思う。今後の自分の活動にも活かしたい。


拒絶を平気で受け入れられるようにならないと何ごとも始められない。営業をやっていたぼくは、拒絶される目標回数というのを設定していた。一日でその目標に届かなければ、自分のプッシュが足りないという指標になる。

最近、営業力が必要だなと痛感する。かならず断られたり、批判や拒絶を受けることになるので、それをポジティブに捉えたり、凹まない考え方やメンタル・タフネスを身につけたい。それは実践しかないんだろうか。


「いいか、君たち。パンフレットの印刷代も調達できないようじゃ、ハイラインの建設費用なんて絶対集められないぞ。方法をよく考えよう」

このあと何度も出てくる言葉。自分に言われてるかのように思えて耳が痛い。心に刺さる。


「こんな金も調達できないようじゃ、ハイラインの建設費用なんて絶対集められないぞ」

ほら。さっそく。


イデアコンペの応募作のいくつかをみんなにスライドで見せ、さらに多くの作品を壁に立てかけて展示した。
・・・
そのすべてをビデオに録画し、それをまとめたものを後で配布した。このような集会を、この後何度も繰り返すことになる。このやり方は、地域住民の一人ひとりに参加してもらう方法として、とても効率的だった。

どうやって周りの人を巻き込むのか。その方法は無限にある。形式にとらわれず、より良い、より満足な方法を探すようにしたい。


彼らからの寄付は、大型資金調達は、努力すれば可能なのだということをみんなにも証明してくれた。5000万ドルも、そんなにばかげた金額ではないのだということを。

ばかげた金額。そういう世界があるんだなと、呆気にとられる感じ。自分も含めて、寄付があまり浸透していない日本でも同じような大型資金調達は可能性があるんだろうか。


資金調達活動のセンスのよさも大きい。「参加したい」「協力したい」と思わせるのがとてもうまいのだ。フレンズ・オブ・ザ・ハイラインは、素敵なカクテルパーティーやディナーパーティーにセレブと一緒に参加できるとか、未公開の場所に入れる、といった付加価値を寄付者に提供する資金調達イベントを繰り返し開き、大きな成功をおさめてきた。「どうかお助けください」と心の中では言いたいのだろうが、あえてそうは言わず、「どうだい、一緒に楽しまないか?」くらいのスタンスのほうが、もしかしたら、財布のひもを緩めさせるのかもしれない。

なるほどなーって感心。確かに寄付する立場としては、自分が楽しめる方が寄付の動機には繋がりやすいのかもしれない。「寄付」と言葉ではあっても、そのことで普段はできない体験ができるという「対価」を得られる方が。

HIGH LINE アート、市民、ボランティアが立ち上がるニューヨーク流都市再生の物語

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