会社員をやめて、もうすぐ3年になります。
なんとかこうして生きていけてるので、もう少しこのままデザインの道をがんばっていこうかと思っています。
サラリーが無くなったからかはわかりませんが、「幸せ」とは何かについて考えることが多くなりました。
それぞれの文化や時代で、幸せというのは変化し続けてきているんでしょうか。
現代日本は、幸福度調査をしても上位には入らないようですが、少なくともハード面に関しては、満たされているんじゃないかと思います。
自分のごく近い周囲しか見えていないだけかもしれませんが、多くの人はモノに関して、特に困ることが無い。
もちろん、より便利にしたりだとか、より体験的に優れたものをつくるは可能でしょうが、そうすることに意味があるのかと考えはじめると、答えが出てきません。
それは、人間の欲望に際限がないことを利用して、経済を大きくしようとしているだけのような気がしてしまいます。
経済が大きいことが、イコール幸せではありません。
経済が大きい方が、できることが多く、大きくなるだけなのではないかなと思います。
これまでの時代は、経済を大きくしないとハード面が足枷となって幸せになれなかったので、経済を大きくしてきたんじゃないかと考えています。
それが先進国では一旦のゴールを見せました。物資が不自由なく過ごせる暮らしです。
そして技術も、人間の管理できる範囲を超えている程度まで発達してきている気がします。
これから日本は、人口が減少します。経済は維持or縮小するんでしょうきっと。
今後はソフト面(プログラミングやITという枠組みではなく)の幸せについて再認識しなければなりません。
色々と便利なモノが生まれて、どんどんラクができるようになった今、人は考えることなく生きていけるし、やっかいな人付き合いの少ない匿名的な社会の中で生きていけます。
はたしてそれがよいことなのか。
今後は、自分たち自身で(どこかの誰かがじゃなくて)考えて、動いていくことが必要になりそうな気がします。
考えるということは、「創造性」「想像性」というのがキーワードになってくるのかもしれません。
…とまぁ、ダラダラと書きましたが、プロダクトをデザインしました。
そうぞう(創造/想像)のプロダクトです。
モノに溢れている時代とか書いておきながら、モノのデザインです。
なんというのか、大それたものではありませんが(カテゴリ的には雑貨やオブジェなので)、今の暮らしの中で、何かしら価値観が変わるキッカケになるようなものを作りたくて考えました。
そうぞう と かげ
「そうぞう と かげ」という作品をデザインしました。
「そうぞう と かげ」は、陶器のブロックです。
光に照らされて生じた影を楽しむプロダクトです。
誰しもが、小さな頃は自分の手で生じた影で遊んだのではないでしょうか。
手で創造して、影で想像する。
大人になって、便利な暮らしを手に入れた今、創造/想像することが極めて少なくなっている気がします。
「そうぞう」は、何かをするためのエネルギーです。
窓から差し込む西日、やさしいキャンドルの炎、お気に入りの照明の灯り…
光があたると、陶器のブロックには影が生まれます。
いろんな形をした陶器のブロックは、置き方や並べ方で、色んな影になります。
色んな影からは、色んな世界がそうぞうできます。
あなたは何をそうぞうするのでしょう。
周りの人は、どんな世界をそうぞうしているのでしょう。
自分たちで何かをそうぞうしていくために、まずは今の暮らしの中で、楽しくそうぞうできるモノを作ってみたいと思い、この「そうぞう と かげ」をデザインしました。
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