イリモノづくり

デザインは身近にありました。要るもの作ろう イリモノづくり。

栞をデザインして、マルシェに行ってきました。

京都造形芸術大学で、アートマルシェというイベントがありました。
8/6(土)-7(日)です。

僕は、ミカンバコというグループで出品してきました。
ミカンバコというのは、通信の空間演出デザインコース関係の有志で集まった団体です。
instagramがありますので、良ければご覧ください。

www.instagram.com


僕は今回、栞(しおり)をデザインして、販売してきました。
5枚入りで500円です。

栞デザインのいきさつ

本が好きで、わりと本を読みます。
だから栞は普段、何気なく当たり前に使っています。

だけど、栞を買うなんてことはまずありません。
本を買ったらだいたい栞はついてきたりしますしね。


ふと考えてみれば、栞は次に光があたるまで、じっと辛抱強くその頁を覚えてくれています。

何日も、何年も。はては何十年も。

こんなにもさりげなく、こんなにも素晴らしい仕事をしてくれているのに、価値を感じられていませんでした。
本を買えば無料で挟まれているからでしょうか。
ぞんざいに使っていたのが、恥ずかしくなってきました。

そんな栞に目を向けてあげたくて、デザインをすることにしました。
栞に何かデザインをすることで、価値を感じられないかなと。

5種類のデザイン

栞は5種類デザインしました。
 ・紙の種類
 ・書体
 ・空
 ・贈る
 ・言葉の標本
そんな5つのデザインです。それぞれの栞のパッケージに記した文章も一緒に残しておきます。


紙の種類

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僕は紙が好きです。好きな質感の紙に出会うと嬉しくなります。
読書の時には触れている、こんなに身近な紙なのだから、それに興味を持てるデザインを考えました。

紙は、とても身近な存在です。
いつも、本の頁をめくるたびに、紙に触れています。
読んでいる間ずっと、文字とともに紙を見つめています。

でも、私たちはいったい紙について何を知っているのでしょう。
どんな紙があるのか。
それはどんな質感なのか。
撫でるとどんな印象を覚えるのか。

いろいろな紙を栞にしました。
質の良い紙です。
羊のようにやさしくやわらかな紙。
人魚のさざ波のような紙。

紙の質感に意識して眼と手で触れることで、新たな世界の扉が開かれるかもしれません。

書体

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デザインを勉強してから、フォントに対する考え方や関わり方が変わりました。
本を読む上で書体を意識することは普通まずありませんが、意識できると少し違う視点にたてます。
だからデザインしました。

その本も、あの本も、書かれている内容も違えば、そこに置かれている文字の種類も違います。
世界観や目の流れなどを考えて、文字のフォントが選ばれています。

文字にはたくさんの魅力があります。
しかし、膨大な文字何気なくを眺めているだけでは、その魅力や価値はわかりません。

よく使われている、質の高いフォントをピックアップしました。
それぞれの文字の美しい形や、受ける印象などを、読書で栞に巡りあうたびに、ゆったりと考えてみるのはいかがでしょう。

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「7A.M.」というタイトルの栞です。
毎朝7時に同じ場所で撮った5つの空が栞に投影されています。
本を読む習慣と行動について考えながらデザインしました。

日々、本を読む人の多くは、同じ時間、同じ場所で頁を進めていることでしょう。
毎日同じことをする、同じことができるという安心感は、それは心地よいものです。
「同じ」は安心感、「違い」は刺激ということかもしれません。

日々の読書という安心感に、日々の違いを閉じ込めました。
同じ時間、同じ場所で見られる「空」です。

毎朝、通勤の電車で、頁を開くたびに、空に出会います。
栞に描かれた空に、もう一度出会うことはあるのでしょうか。

日々の安心感と、日々の違いを味わいながら、想像の旅に出かけてみるのも読書の楽しみになるかもしれません。

贈る

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読書は孤独な行為ですが、他の人とともに本を楽しむこともできます。
貸し借りしたり、贈ったり。
本をやりとりできる間柄というのは、なんだか良い関係な気がします。
そういう行為をイメージして、デザインをしました。

  • 本を贈る

誰かに本を贈るというのは、ものを贈りたいということよりも、気持ちを伝えたいということ

  • 本を貸す

貸してあげるのは、きっとその人には自分の気持ちに共感してほしいと思うから

  • 本を返す

「ありがとう」とともに、その本から芽生えた気持ちを伝えると、あたたかな空間で包まれる

だれかと本を贈るやりとりに、自分の気持ちを記した栞があったなら、ほんの一文から、気持ちの交換が生まれはじめるのかもしれません。

言葉の標本

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ネット上は、素晴らしい名言で溢れています。それは素敵なことですが、その時は感動しても、自分の体に染み入ってくるには情報が多すぎるので薄くなってしまう気がします。
自分で言葉を選んで、それを標本にして、読書の度に目にする栞で、体に染み込ませるように考えました。

文章を読んでいると、時折、とても美しく、とても素敵な言葉に出会います。

ほんのわずかな表現の違いによって、流れ落ちてしまっていた言葉たちが、いきいきと心に語りかけてきます。
会話や手紙、メールといったコミュニケーションは、私たちの暮らしの中で、とても大きな比重を占めています。

とどめておきたい素敵な言葉は、じっくりと選りすぐって、手間をかけ、ひまをかけて、何度も何度も、その目に触れることで、じっくりと身体の中に入っていきます。
表現によって、自分にも周りの人にも、変化が訪れるかもしれません。

今後

ありがたいことに「空 7A.M.」は展示品も含め完売しましたし、栞に関して嬉しいお言葉もいただけたりしました。

そうそう、今回のマルシェでは、以前にデザインフェスタで販売した糸巻き「Noo」もまた販売したのでした。

maili.hatenablog.com

Nooも今回新たにデザインしたこれらの栞も、どちらも改良しつつ、ネット上や、またどこかのイベントでお求めいただけるようにする予定です。
ご興味ある方は、その際はまたよろしくどーぞお願いします。


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