空デ滋賀ツアー振り返りブログ。
maili.hatenablog.com
その詳細編スタート。
7/18 AMは佐川美術館でした。
台風の影響からの散々なスタート
前日7/17に大きな台風がやってきまして、夜が暴風域だったので当日は大丈夫かなーなんて思っていたわけですが、日が明けてびっくりの、電車のダイヤは乱れまくりな状態。
電車だけでなく車も、京都-滋賀の道路がほとんど通行止めになっていたようで、集合時間になっても無事に到着できたのはわずか4人という波乱の幕開け。
佐川美術館に到着
そんなこんなでしたが、参加者のみなさんスケジュールから遅れながらも、どうにか無事にたどり着いていただだけました。そんな状況にも関わらず、参加者全員が揃ったことにまず感謝ですわな。
佐川美術館は琵琶湖のすぐ隣(ちょっと見えないぐらいの位置ですけど)。
にも関わらず、あえて水面を人工的につくるという。
見た目はカッコいい。けど、なんというのか良くも悪くも考えさせられるランドスケープ。設計意図はどういうもんなんだろう。
その場所・土地を活かしたというよりも、デザインしたい内容をこの敷地に置いたのかなという印象。悪い意味ではなくね。周りに高い建物はないので、視線が抜けて気持ちいい景観。その点は場所を活かしたってことになるのかな。
ライティングがすごく良いこの美術館。光と影という、持っていなかった視点をようやく持てるようになりまして。他の美術館ももちろんですが、ここ佐川美術館は特に素敵な使い方な気がします。
ベンチとして設置されていた古い家具(?)の雰囲気も良いですね。古いベンチを持ってくるんじゃなくて、あえて違う用途のものを持ってくるのが良いんだろうか。そういえば先日に東京のHIGASHIYA銀座に行った時に、行われていた展示で、緒方慎一郎さんの言葉があった。
別様
役目を終えて朽ちてゆくものは、
なぜか自然に近くなる。
人がつくったものと、自然との間。
そこに位置するもの同士を組み合わせて、
別のものをつくるのが好きだ。
錆びた針金の束と鎖。
鉄の杖と風雨にさらされたテーブルの脚。
シュールレアリズムの飛躍とはまた違う、
乾いた謎掛け。
かつて意味のあったものが、
意味のない美しさを帯びる。
写真はネット上に見当たりませんでしたが、書籍には載ってます。僕は緒方慎一郎さんのデザインが好きなので、超おすすめです。
- 作者: 緒方慎一郎
- 出版社/メーカー: 青幻舎
- 発売日: 2015/06/20
- メディア: ペーパーバック
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最近の僕が見ているものは、役目を終えたもの・役目を与えられなかったものをどう使うか。
緒方さんの言う、"意味のない美しさ"の意味のないってとこは理解できてないけど、これまでそこには無かった美しさが持ち込まれるっていう感じがする。
この佐川美術館のベンチとして利用されている古い家具もそうなんだろう。今まで僕たちがそういう視点では見ていなかったからこそ、今現れてきた美しさ。
魅力的な茶室
今回の佐川美術館の目当ては、茶室。
十五代目 樂吉左衛門が設計創案されたという茶室。
茶室の館内は写真NGなので僕が撮ったのはこの写真しか無く、あとの写真はネット上のリンクですが、水庭に浮かぶ(様に見える)建物が、その茶室。建築士やデザイナーというわけではないのに、樂さん、センス良すぎる。ため息しか出ない空間。
伝統的な茶室は、露地と称する庭園の中に建てられている。露地は、俗塵を離れた非日常的空間である茶室に至るまでの空間を演出する。
おぉ空デ。空間演出。
Wikipediaですけど。
路(ろ)
一旦水面の下の地下へと降りて行き、茶室へと向かう道である薄暗い"路"を進みます。
その"路"の床として使用されているのは、古材である枕木。たしか案内をされていた館内の方はオーストラリアから持ってきたと仰っていた気がします。ここでも古材。用途の異なるもの。きっと空間だけではなくて、プロダクトそのものにも活用できる方法な気がする。別様。
天井には照明はなく、足元に光源の見えないように設置された間接照明があって床がほんのりと照らされ、その姿が浮かび上がっている感じ。
寄付(よりつき)
茶室の寄付っていうのは、茶会を愉しむ前に、身支度を整えたりする場所のようです。
この樂吉左衛門館では、テーブルとして見事なまでに割れの入った大きな一枚板が使われてました。
この"割れ"が良いとのこと。納得。頭では理解できてないけど、現物を一目見れば納得。
水露地(みずろじ)
屋外ながら水庭の水面下という非日常感。茶室を構成する要素のひとつである非日常感、というものに対して、このような大胆な発想を持ってくるところがスゴい。「日常・非日常」というものは、デザインをする上もで大切な視点だと思う。日常というのは、いわば意識すらしない当たり前のことであって、それを意識することで非日常をいう視点を持ち込めるのかなと思う。当たり前のことに対してでも思考を巡らせてみるのが良いのかな。
飛び石として使われていたのはジンバブエ産の黒石だそうで、ジンバブエ産推しでしたが、後々知ったところによると、樂さんは岐阜で偶然この石を見つけたそうで。なぜにそこまでジンバブエ産推しなんだろうか。
小間 盤陀庵(こま ばんだあん)
話が長くなってきました。
ので、途中飛ばしてセミファイナルの小間へ。ここがいわゆる茶室のイメージの場所。小さな間。小間。
ふすまは和紙でつくられていて、移り変わる光の色をそこに映します。夕方には赤くなるんだろうか。想像するだけで綺麗。
柱はアクリルでできていて、そこに透けた光もふすまの和紙に綺麗な陰影をつけていました。
三角柱だったので、角度によってはプリズムの効果で虹ができたりもするのかな。
まだ水の下で、開放的ではなく、凛とした空気。
企画展はキース・ヘリング展
茶室目当てだったので、企画展の内容も調べずに来ましたが、企画展はキース・ヘリング展でした。
名前しか知らなかったけど、絵を見て「あー!」なやつ。
特にこれまで興味はなかったですが、目の前で現物を見て、その丁寧さと質感に魅了され、ついつい普段は買わない美術館の定番おみやげ、ポストカードを衝動買い。
早速、我が家で空間を飾ってくれてます。
ポストカードを飾るフレームも無かったので、無印で購入。いいですねこれ。
テーマ「空気感・緊張感を学ぶ」
この初日の午前、佐川美術館での勝手に決めていたテーマは「空気感・緊張感を学ぶ」でした。
自分のつくるデザインにも意識的に空気感・緊張感を持たせたいなと思っていて。
それが空間全体のデザインであれ、プロダクトであれ建築であれ、空気感・緊張感を持つデザインをすることが、その場の雰囲気やいわゆる空気を変えて、その変化が、次に繋がっていくキッカケをつくる、と思うので。
改めて振り返ってみて、佐川美術館の中にあった「別様」、「非日常」あたりがその空気感・緊張感を持たせるための一つの要素なのかな。
お昼ごはんはローストビーフ丼
で、台風によるスケジュールの遅れを、佐川美術館の見学時間で吸収し、お昼ごはんへ。
tabelog.com
南草津のRoti。初めて。
ローストビーフ丼ってのも初めて。ウマい。
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