シルクハット手にした手品師がね、お客様に「何を出したらいいでしょうか」って聞いて、
みなさんがうさぎと仰ったからウサギを出します。
一回は驚く。言ったとおりのものが出てくるから。
二度も三度も、ミミズを出せだの何だの言われたときに、
出して当然になってきますよ。
それに、何を出してほしいのか、
なんてすぐに凡庸化してくる。
特に、おおぜいのお客さんにたずねたらね。
それは面白くないんじゃないの?って。
手品師はやっぱり、何を出すか
お客さんの想像を超えたもので、
驚かせないといけないんで。
その方法は、ほとんど、仕事としてできることじゃなくて、
手品師自身が「客席の感覚」でいないとできないですよね。