イリモノづくり

デザインは身近にありました。要るもの作ろう イリモノづくり。

信楽の散策路で、デザインフィールドワークの巻(空デ滋賀ツアー)

だいぶん長期にわたってる空デ勉強会 滋賀ツアーに関してのこのブログ。
またまた間があいたけど、へこたれずにがんばります。

maili.hatenablog.com


一日目PMの上田先生プレゼンツ、信楽フィールドワーク編。
この滋賀ツアーの目玉の一つ。



信楽では、「窯元散策路のwa」って団体(?)が、窯元散策路マップなるものも作っておられるようで、今回フィールドワークとして巡ったのはその窯元散策路。


信楽 窯元散策路のwa




文五郎倉庫

文五郎倉庫について | 文五郎倉庫

最初は文五郎倉庫。
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もともとあった古い倉庫をギャラリーやイベントスペースとして利用するために、松井先生監修、上田先生デザインで改修された場所。
最近ACG Projectでは松井先生にお世話になってるし、上田先生には大学入学時から卒業後にわたってお世話になってるので、ずっと行ってみたかった場所。

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職人さん達によって使われてきた"跡"を消してしまわないように、最低限の改修に抑えながらモダンなデザインになっているオシャレな空間に仕上がってました。
ほーすごい、では結局何しに行ったかわからないので、もし自分ならどうデザインしただろう、なんて考えてみる。今。この文章書きながら。

きっと初期アイデアを今考えるとしたら、信楽の土や文五郎窯で使われてる材料や道具なんか取り入れたデザインを考えてるんだろうな。こういう風に、使われた跡を残す、すなわち「歴史を活かす」という発想は自分の頭には無かったな。さすが先生、勉強になります。

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什器になってたのは焼きもの関連のものが使われててメチャかっこいい。

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倉庫前に置かれていたベンチは「版築」という工法で作られたらしく。そんな工法は知らんかったわけですが、ただ単純に土を突き固めるだけ(石灰とかセメント混ぜたりもする)で作れるものらしく、仕上がりはなんとも良い風合い。
この版築は、見かけによらず頑丈に仕上がるようで、法隆寺の築地塀とか、万里の長城なんかに使われてたようです。
型枠さえ作れば出来そうなので、色んな所に応用できそう。実家帰った時にでも試してみようかな。


丸滋製陶

www.shigaraki-marushi.com
手作りの信楽焼窯元の丸滋製陶さん。

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かなりタイムリーなKIKOFという、デザインプロダクトブランドの焼きものを作られてるのが、この丸滋製陶さん。最近個人的に注目してた素敵なデザインをされるキギさんのデザイン。テンション上がる。2015のADC賞のグランプリ。はーすごい。

www.kikof.jp

紙で作られた器の模型で、焼きものの試作依頼を受けてスタートされたらしいです。そんなやり方もあるんね。薄くてキレイで、いわゆる信楽焼のイメージが無いところが、ポイントなのかも。

このKIKOF含め、陶器を作ってる作業風景を見せていただけましたが、手作りで一つ一つ調整しながら作っておられました。型からポンッで簡単に仕上がるわけじゃ無いのか。
陶器って、食器なんかで人の生活に寄り添いながら、永く使われてきた歴史のあるものなので、洗練されてきて改良の余地は少ないのかなと思いきや、まだまだ余地はあるもんですね。あたたかみや肌なじみなど、独自の印象があるプロダクトが陶器だと思うので、それを活かしながら、現代にあったものを提案することっていうのは、意外と大きなパイなのかも。
欠点として、割れやすさってのがあると思うので、それをどうするのかもポイントですよね。逆に割れても良いプロダクトにする、とか?


shiroiro-ie

shiroiro-ie.com

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shiroiro-ieは、その名の通りの、真っ白い家なショップ&ギャラリー。
改修には、我が母校の滋賀県立大学が絡んでたというお話。そんなことしてたのか県大。自分の学科以外のことは全然知らずに過ごした学生時代を反省。というかその頃はきっと、知ったとしても興味もったりしなかったのかもな。

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背景に写ってる石の壁は、特殊な接着剤で貼り付けられたそうで。壁といえば、木材・塗装・壁紙、ぐらいのことしか思い浮かばないのでナルホド感。

空間デザイン的には、石とか鉄とか木とかっていう、「素材そのもの」を前面に押し出すと、その空間からは少し落ち着いた印象を受けるし、逆に、木材にペンキを塗ったりして素材感をオブラートに包むと、色は統一されたとしても、どこか意思や主張のある印象になったりするもんですね。

「人の外見は、中身の一番外側」
なんてことが言われたりしますが、それっていうのは、その人の志向や性格なんかが、服装や仕草なんかの見た目でわかるってことだと思うんですが、空間も同じく、空間の外観(エクステリア・インテリア)は、何かを引き立てるだけじゃなく、コンテンツを伝えるためのメディアとして重要なポイントなのかも。


Ogama(おおがま)

Ogama

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カフェやショップ、ギャラリーな「Ogama」。
大きな存在感のある登り窯があって、素敵なシンボル。

散策で一汗書いたときのカフェタイムは、気持ちよしでした。

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色んなものが、色んな感じにレイアウトされて置かれてて、アクセントの参考になるオンパレード。
使い方次第だなぁと考えさせられます。


misin-ya

実験アートサロン misin-ya

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実験アートサロン「misin-ya」さん。
おそらく電器屋さんを改修したんだろう面影が色んなとこに残りながら、センスあふれる空間。悪い意味じゃなくセンスしか無い空間。僕の頭からは絶対でてこないだろうな空間。
置かれている商品も、センスで集めてきたんだろうものばっかりで、僕にとっては刺激しかない感じでした。信楽で焼きものに疲れたときに訪れたりすると、きっと何か違う世界が見えるだろうそのセンスはどっから来てるんだろう。カケラでも伝授したい。


振り返り

僕はデザインという手段を利用して、新しいものを生み出していこうとしているわけですが、そもそもデザインにせよアイデアにせよ、創造するっていうことは、何も無いゼロから生み出すというのは無理なわけで。これまでの歴史の中で生み出されたものや技術にインスピレーションを受けたり、それらを活用して、新しいものを生み出すことが必要なんだと思ってたりします。
それによって「らしさ」も生まれるし、他のデザインには無い特徴をもった優位な差異が生まれる。
で、大事なのはその活用するバランスなのかも。

活かしすぎると、馴染むけれど新しさが感じられずに、共感を生まないデザインになったりしますしね。


「世の中はバランスで出来ている」
なんていうのは、僕の浅はかな持論ですが、デザインのエッセンスもバランスなんですかね。